記念日反応を知り、準備をしましょう
大切な人をなくしてしばらくの間、なくなった人の命日や誕生日、その人といつも過ごしていた記念日や年末年始の時期になると、喪失の悲しみが強くぶり返し、とても苦しく感じることがあります。
赤ちゃんをなくした家族の場合は、命日や誕生日の他、子どもにまつわる祝日・行事(お雛様、5月の節句、母の日、父の日、クリスマスやお正月など)のある時期は、テレビも含め街中が「幸せな親子、家族」のイメージ・宣伝で溢れるため、「ここにあの子がいない」という痛切な悲しみ、寂しさ、孤独感、痛みが呼び起こされやすい時期だと思います。
これらの痛みは「anniversary reaction (日本語では、記念日反応や命日反応)」と呼ばれています。
あなただけではなく、多くの人たちが、記念日反応と呼ばれる心の反応を経験しています。たくさんの当事者の経験から、記念日反応とどう折り合っていけば良いのか、対処法についてまとめられた記事もあります。この苦しい時期をどうやり過ごせば良いのか、いろいろな工夫の仕方があるので、記事を参考に、心の準備をしてみてください。
私自身、12月に息子を亡くしてからしばらくの間、年末年始のこの時期は複雑な気持ちがわき起こる、しんどい時期でした。地上の子達のために、クリスマスや正月の祝い事をしないわけにはいかないのですが、心から祝う気持ちにはなかなかなれずにいました。次の子を授かってからもその状況はしばらく続きました。
「記念日反応」の概念を知ってからは、そういう自分の気持ちは仕方のない、子どもを亡くした親としては当たり前の反応なのだから、自分なりに無理のない過ごし方をしようと決め、少し楽になりました。
わき起こる複雑な感情に対して、なすすべなく圧倒されたままでいるのではなく、それらが「記念日反応」と呼ばれるよくある反応であることを知り、しんどいながらも前もって準備することができれば、不要な刺激を避けたり、少しでも楽な過ごし方を選ぶことができます。そうやって主体的に行動することで、自分なりにできることがあると、元々の自分の力に気づき、「無力な自分」から脱するきっかけになったりもします。
支援者にとっても、記念日反応について理解し、その対処の仕方についての知識・情報をご家族に伝えることは、取り組みやすい基本的な支援であり、有用な情報支援の1つだと思います。
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