困ったときの相談場所
赤ちゃんをなくすという出来事はとても衝撃が強い出来事なので、しばらくの間、普段できていることが手につかなくなったり、悲しみや怒りなど感情の振り幅が大きくてコントロールできず、周囲の人間関係に影響したり、様々な悩み事が生じるかもしれません。
身近に信頼できる人、あなたの話を否定や評価をせずにゆっくり聞いてくれる人がいれば、勇気を出して、話を聞いてもらうことで、少し安心できるかもしれません。
一方で、身近な人だからこそうまく話せない、話しづらい気持ちもあると思います。
「赤ちゃんをなくした家族の心の状態、悩み事」に一番詳しいのは、似たような経験(赤ちゃんとの死別)をされた家族同士が集う分かち合いの場(自助グループ、ピアサポートグループなどと呼ばれます)かもしれません。最近では、ネット上で、天使ママ(赤ちゃんをなくしたお母さんの通称)同士で繋がり、支え合う場もあります。
自助グループのようなグループの場に参加することへの不安、抵抗感を感じる場合は、地域の公的な相談窓口を利用する方法もあります。
下記に相談場所の情報をまとめていますので、ご自分の地域で利用できる場所を探してみてください。最初の相談で思うようなサポート、情報を得られないこともあるかもしれません。それでも、「誰も当てにならない、助けはないんだ」と諦めて孤立せずに、次の相談場所を探してみてほしいと思います。
あなたの悲しみに寄り添ってくれる人・場所につながれるように、心から願っています。
【地域での相談場所】
⑴自助グループ、サポートグループ
⑵自治体の相談窓口
⑶民間の相談機関
⑷医療機関(精神科、心療内科)
⑴自助グループ・サポートグループ
赤ちゃん・子どもをなくした家族が集まり、それぞれの気持ちを語り、聴き合う形で相互扶助活動をしている団体が全国各地にあります。
⑵自治体の相談窓口
◆自治体母子保健担当課の相談窓口
2021年5月に厚労省より各自治体に、流産や死産を経験した家族への支援の必要性について通達が出て以降、各自治体母子保健担当課を中心に相談窓口を設置し、ウェブサイトでの案内を行う等、地域自治体の前向きな取り組みが徐々に広がってきています。
相談窓口の案内を行っている自治体はまだ一部ですが、国の方針として、「流産・死産等を経験した女性に対しても産後支援、心のケアが必要であり、各自治体で具体的な支援に取り組むように」という通達が出ていますので、相談場所に困るときなどは、自治体の母子保健担当課に問い合わせるのも1つの選択肢です。
◆精神保健福祉センター、保健所、市町村保健センターの相談窓口
また、全国各地にある精神保健福祉センターや保健所、市町村保健センターでは、様々な心の問題、病気について相談することができます(電話相談、対面相談あり)。
赤ちゃん・子どもをなくした後、心や体の不調とどう向き合っていけばよいのか、誰かに相談したいけれども相談先がわからないという時にも、これらの支援機関に電話相談ができます。
◆不妊症、不育症の相談窓口
不妊症、不育症については自治体単位で公的な相談窓口が設置されており、治療のことや心のケアについて、専門職に相談ができます。センターによっては、不妊症、不育症に関わらず、流産・死産や赤ちゃんとの死別に関する相談も受けています。
*全国の不妊専門相談センター一覧(厚生労働省)
⑶民間の相談機関
◆関東地方
◆関西地方
⑷医療機関(精神科、心療内科)
大切な人をなくした後、様々な苦しい感情、思考や身体的不調を体験することは、人として自然な反応であり、この反応・プロセスは「グリーフ(悲嘆)」と呼ばれています。
グリーフの反応や過程は、人それぞれにとても苦しいものだと思いますが、通常は、周囲のサポートや時間の経過と共に、徐々に、波を繰り返しながらも、年単位で、その激しさは軽減していきます。
しかし、死別を取り巻く状況や周囲のサポートの有無によっては、通常のグリーフ反応がより強度で長期化したり(=専門用語で「複雑性悲嘆」と呼ばれる状態)、うつ病やPTSD(再体験、回避・麻痺、過覚醒などの特徴的なトラウマ症状が生じる疾患)などの精神疾患が併発する場合があります。
このような場合は、自分や家族だけで苦しみを抱えるのではなく、死別後のメンタルヘルスの問題に取り組んでいる精神保健福祉センターや医療機関へ相談するという方法があります。
どのような相談機関や医療機関があるのかわからず困った時には、地域の精神保健福祉センターや市町村の保健センターに相談してみましょう。
◆緩和ケア科のある医療機関などで、遺族のこころのケアのための外来診療を行っているところがあります。
*愛知県小牧市民病院
◆周産期に赤ちゃんをなくしたご家族の退院後の心理支援に取り組む医療機関も徐々に増えてきています。
*東北大学病院
*大阪医科大学附属病院 周産期センター 周産期ケア外来
〜センターのウェブサイトより引用
(周産期ケア外来)
毎週木曜日10時~15時 1人1時間 5人まで要予約
担当:リエゾン精神専門看護師
周産期ケア外来は、何らかの理由で流死産を経験、あるいは産後にお子様をなくされたお母様やご家族の心理的なケアをさせていただく外来です。お子様を亡くすという非常に辛い想いに共に向き合い、その辛さを緩和していけるように支援させていただきます。
*岡山大学病院産婦人科 ウェブサイトより
ヘルスケア外来の対象疾患の一つとして、死産後のグリーフケアについて記載されています。
〜死産後のケア(グリーフケア)
大切な赤ちゃんを亡くしたとき、お母さんは悲しみや喪失と立ち直りの思いとの間で、とても不安定な状態になります。そのような方に寄り添い、援助することをグリーフケアと言います。日常ではつい後回しになりがちなお母さんのこころのケアを、入院中から退院後も継続して行っています。
*愛育クリニック 周産期メンタルヘルス科外来(東京都)
◆複雑性悲嘆(遷延性悲嘆症)に関する情報
0コメント